薬事法務関連Q&A 健康食品編

 

1. 健康食品とは?

Q1 健康食品は薬ですか、それとも食品ですか?
A1 健康食品に関する法律上の定義はありませんが、「健康食品」という名前が示すとおり、薬品ではなく食品に該当します。そのため、健康食品を規制する法律は、本来は薬事法ではなく食品衛生法、健康増進法、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)などが挙げられます。ただし、食品として標榜可能な表現の範囲を逸脱した文言を広告や容器等に記載したりすると、薬事法第68条(未承認等の医薬品の広告)に抵触するおそれがあります。

 

2. 健康食品の販売について

Q2 健康食品を販売する際の手続きは?
A2 許可・届出の有無については管轄の保健所にお問い合わせください。なお、食品として販売するための一般的な法規(食品衛生法、計量法、JAS法、健康増進法、景品表示法など)を遵守する必要があります。
また、食品の表示や広告を行う際には、医薬品であると判断されないために、医薬品的効能効果を標榜したり、医薬品的な用法用量の指定をしたりすることはできません(詳細はQ4をご覧ください)。
   
Q3 健康食品を小分けして販売することはできますか?
A3 許可・届出が必要になる場合がありますので、管轄の保健所にお問い合わせください。

 

3. 健康食品と法規制

Q4 健康食品と薬事法の関係について教えてください。
A4 健康食品を販売する際、後述の46通知(「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」)において記載されている「野菜、果物、調理品等その他外観、形状等から明らかに食品と認識される物」および「健康増進法(平成14年法律第108号)第26条の規定に基づき許可を受けた表示内容を表示する特別用途食品」以外のものとして取り扱う場合は、医薬品的な効能効果を標榜したり、商品が医薬品的な形状となっていたり、医薬品的な用法用量の記載がある場合は医薬品として判断されます。

医薬品の製造・製造販売・販売には許認可が必要であると薬事法で規定されているため、食品として販売されているものが医薬品として判断されるという事は、その商品は薬事法に違反している未承認医薬品であるということになります。未承認医薬品は処罰の対象となりますので、健康食品を扱う際は薬事法にも注意が必要です。
なお、「野菜、果物、調理品等その他外観、形状等から明らかに食品と認識される物」(いわゆる「明らか食品」)に具体的にどのようなものが該当するかに関しては、都道府県薬務課などにお問い合わせください。
   
Q5 健康食品の知識を利用して、疾病などの診断、治療、投薬、処方など、医師と誤認されるおそれのある行為ができますか?
A5 医師法等の規制があります。資格を所持する医師でなければ、医師と誤認されるおそれのある行為の実施は禁止されています。
前述のとおり、健康食品はあくまでも食品であって医薬品等ではありません。健康食品と医薬品の区別をきちんとつけることが大切です。

 

4. 健康食品と広告行為について

Q6 どのようなものが広告に該当するのですか?
A6 薬事法における医薬品等の広告については、以下の3つの要件を満たすものが広告として定義されています。
・顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
・特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
・一般人が認知できる状態であること(「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」平成10年9月29日医薬監第148号より抜粋)

誇大広告等を禁止する薬事法第66条と、承認前の医薬品等の広告を禁止する第68条においては、条文中に「何人も」と規定されていますので、上記の広告の要件を3つとも満たす場合は、情報の発信者が誰であっても規制の対象となりえます。
さらに、規制の対象となる表示や広告の方法も、製品の容器や包装、チラシなどのほか、インターネット、書籍、店頭での口頭での説明など、多岐にわたりますので注意が必要です。 また、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)においては、広告についても表示に含めて規制対象とされています。
   
Q7 健康食品の表示や広告で、表現できる範囲はどのようなものですか?
A7 健康食品の表示や広告をする際は、A4及び後述の「〈法解釈〉医薬品的な成分、用法用量の指定、形状、効能効果について」で挙げた次の4点にまず注意する必要があります。
・医薬品リストに掲載されている成分を使用しない(使用している旨も標榜しない)
・医薬品的な効能効果の標榜をしない
・医薬品的な形状としない
・医薬品的な用法用量の記載をしない

健康食品の広告で表現できるのは、「健康維持」「美容」「栄養補給」の範囲に限られます。ただし、肌や髪などの身体の特定部位を挙げて、それらの部位の健康維持や美容、栄養補給などを標榜することは医薬品的効能効果表現に該当するためできません。また、病中病後や体力低下時、肉体疲労時など、疾病等の好ましくない状態にあるときを対象とする栄養補給などの表示も医薬品的効能効果表現に該当するためできません。
また、薬事法以外の法律で定められた次のような点にも気をつけなければなりません。
・容器等の表示については、食品衛生法やJAS法などの規定を遵守する
・「有機栽培」「オーガニック」などの標榜や有機JASマークは、有機JAS規格による格付けを受けた者だけが表示できる(JAS法)
・厚生労働省令で定める栄養成分や熱量に関する表示(栄養表示)を行うときは、栄養表示基準にしたがって表示する(健康増進法)
・健康の保持増進の効果等について、著しく事実に反する表示や、著しく誤認を与える表示をしない(健康増進法)
・商品やサービスについて、実際のものよりも著しくいいものだと誤認されるような表示や、事実に反して同業者のサービスよりもお客側に著しく有利であると誤認されるような表示をしない(優良誤認表示、景品表示法
・商品の価格などの取引条件について、実際のものよりもお客側に著しく有利であると誤認されるような表示や、事実に反して同業者のサービスよりもお客側に著しく有利であると誤認されるような表示をしない(有利誤認表示、景品表示法)
・インターネット通販等の通信販売を行うときは、特定商取引法で定められた項目を広告に記載する。なお、特定商取引法においても、誇大広告等は禁止されているので注意が必要。訪問販売を行う際についても、特定商取引法で規定されているので注意が必要。

なお、広告規制に関しては、それぞれの語句によって判断されるほか、画像、全体の流れや文脈等、広告の全体をみて判断されることにも注意が必要です。
   
Q8 健康食品を販売したいと思っています。その健康食品に使用されている成分について、最新の研究結果や論文などによる、効能効果の裏付けとなるデータがあるのですが、それを広告内に載せてもいいですか?
また、「毎食後に5粒ずつ飲んでください」といった摂取時期や間隔、摂取量等の用法用量についての記載はできますか?
A8 食品において、医薬品的な効能効果を標ぼうすることはできません。
たとえ、それが科学的に根拠のある、信頼性の高い情報であったとしても、その内容が医薬品的な効能効果に該当する場合は、食品広告では薬事法に抵触することになります。医薬品的な効能効果を標ぼうする場合は、医薬品を製造・製造販売・販売するための業許可や、品目ごとの承認許可を取得しなければなりません。
また、摂取時期や間隔、摂取量などを定める表現は、医薬品的な用法用量の指定となるため、できません。その食品が医薬品であると消費者に誤認を与えてしまうからです。食品においては、摂取時期や間隔、摂取量などを指定することはできませんが、「栄養補給のための食品として、1日2~3粒を目安にお召し上がりください」など、食品としての使用の目安を記載することは可能です。
※医薬品的効能効果、医薬品的な用法用量については、後述の「〈法解釈〉医薬品的な成分・用法用量の指定・形状・効能効果について」をご覧ください。

 

5. 健康食品を勧めるとき

Q9 関節痛に悩む友人がいたので、それに効果があると考えられる成分を含んだサプリメントをプレゼントしました。そのサプリメントに含まれている成分が「関節痛に効く」とはその友人には伝えていません。適法でしょうか?
A9 プレゼントしたサプリメントに関しての効能効果を友人に何も伝えていない場合、薬事法上の広告には該当しないと考えられます。ただし、関節痛への効果を意図してプレゼントし、医師の行う医療行為等に類似する行為とみなされないようにする注意が必要です。
   
Q10 関節痛に悩む友人がいたので、「このサプリに含まれている成分は関節痛を和らげる効果があるんだよ」と言って、関節痛に効果があると考えられる成分を含んだサプリメントをプレゼントしました。適法でしょうか?
A10 そのサプリメントが製造販売承認を受けた医薬品ではない場合、薬事法第55条(販売、授与等の禁止)、第68条(未承認医薬品等の広告の禁止)に抵触するおそれがあります。製造販売承認を受けた医薬品であれば、承認を受けた効能効果の範囲で広告することは問題ありませんが、効能効果を標榜し譲渡する場合は、薬事法のみならず医師法にも抵触するおそれがあるため、注意が必要です。
   
Q11 関節痛に悩む友人がいたので、「この成分は関節痛に効果があるんだよ」と伝えました。友人は自分でその成分が含まれたサプリメントを買って飲みました。適法でしょうか?
A11 この行為が広告行為に該当する場合、この成分を使用したサプリメントが製造販売承認を受けた医薬品ではないならば、薬事法第68条(未承認医薬品等の広告の禁止)に抵触するおそれがあります。「この成分は関節痛に効果があるよ」といった言葉により、関節痛に悩む友人に適切な治療を受ける機会を失わせるおそれがあるためです。
ただし、憲法において言論の自由も保証されていますので、広告行為とならない範囲で、自己責任においての情報提供は可能であると考えられます。ただしこの場合も、「この成分を摂れば関節痛は絶対よくなるよ!」といった誇大な情報を伝えてしまわないように気をつけるとともに、関節痛に悩む友人が医療による適切な治療を受ける機会を失うことのないよう、十分注意する必要があります。
なお、この成分を使用したサプリメントが製造販売承認を受けた医薬品であれば、承認を受けた効能効果の範囲で広告することは差し支えありません。「関節痛に効果がある」という内容が、承認を受けた効能効果であることを確認する必要があります。広告を行う際には、虚偽・誇大なものとならないよう、十分注意しましょう。
   
Q12 糖尿病の親族から、糖尿病のためになにか良いサプリメントはないかと聞かれたので、糖尿病に効果があると考えられる成分が含まれたサプリメントを勧めました。適法でしょうか?
A12 この場合においても、この行為が広告行為に該当する場合(特定の製品名を明らかにした場合など)、糖尿病に効果があると考えられる成分を使用した製品が製造販売承認を受けた医薬品ではないならば、当該サプリメント中の含有成分による糖尿病の改善、治癒が期待できる旨を説明する場合は、薬事法第68条(未承認医薬品等の広告の禁止)に抵触するおそれがあります。糖尿病の親族が医療による適切な治療を受ける機会を失わせるおそれがあるためです。
健康維持に役立つ栄養素を含むサプリメントであるということなど、誇大な表現にならない範囲で、食品の広告において表現可能な範囲で勧めることは問題ないと考えられます。
ただし、憲法において言論の自由も保証されていますので、広告行為とならない範囲で、自己責任においての情報提供は可能であると考えられます。ただしこの場合も、「このサプリメントを飲めば糖尿病は絶対よくなるよ!」といった誇大な情報を伝えてしまわないように気をつけるとともに、親族が医療による適切な治療を受ける機会を失うことのないよう、十分注意する必要があります。
いずれにしても、このような場合、サプリメントの使用については、親族が糖尿病であるという診断を受けている場合にはかかりつけの医師に相談してもらうようにし、もし診断を受けていない場合であれば、まず医師にかかってもらい、糖尿病であるかどうかを確認したうえで、医師の意見を聞いてもらうようにしましょう。

 

補足

「明らか食品」の広告で標榜可能な範囲はどのようなものですか?
切っただけの野菜や果物など、一見して明らかに食品であると判別できるものは、医薬品と誤認されるおそれのない「明らか食品」として取り扱うことができます。
「明らか食品」の広告においては、上記の健康食品のように医薬品的効能効果を標ぼうすることができない、という制約は薬事法上存在しません。しかし、疾病名を出し、それに対する効果がある旨を標榜したり、誇大な内容の標榜を行うと、景品表示法及び健康増進法に抵触するおそれがありますので注意が必要です。

※なお、具体的にどのような食品が「明らか食品」に該当するかは、都道府県薬務課等にお問い合わせください。

法解釈

医薬品的な成分・用法用量の指定・形状・効能効果について
医薬品に該当するかどうかについては、薬事法第2条に手がかりがあります。健康食品を取り扱う際は、ここで規定されている医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の定義に該当しないようにしなければなりません。以下、健康食品を取り扱う際の薬事法の観点からの注意事項について説明します。

食品において、薬事法第2条に定義されている医薬品かどうかの判断基準については、昭和46年6月に厚生省(当時)薬務局長より各都道府県知事宛に通知され、以降も改正が続けられている「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(通称「46通知」)別紙資料の「医薬品の範囲に関する基準」に記載されています。
下記の具体的な判断の基準のうち、1つ以上を満たすものが医薬品として判断され、薬事法の規制対象となっています:
①成分本質(原材料)が専ら医薬品として使用されるものか
②医薬品的な効能効果が容器包装や添付文書、チラシなどに記載されているか
③医薬品的な形状か
④医薬品的な用法用量が記載されているか

①成分本質(原材料)が専ら医薬品として使用されるものか
「医薬品の範囲に関する基準」には、別添として「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」と「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」というものが存在します。これは、通称「食薬区分リスト」や「医薬品リスト」「非医薬品リスト」などと呼ばれています。
この「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(「医薬品リスト」)に掲載されているものは、食品に使用することはできません。「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(「非医薬品リスト」)に掲載されているものは、医薬品的な効能効果を標ぼうしないかぎり、薬事法上は医薬品に該当しないと判断されているものです。このリストに掲載されているものを食品に用いても、医薬品的な効能効果を標ぼうするなどしないかぎり薬事法上問題はありませんが、食品衛生法において別途ルールが定められているものもありますので、注意が必要です。

②医薬品的な効能効果が容器包装や添付文書、チラシなどに記載されているか
医薬品的な効能効果については、以下のようなものが該当します:
・疾病の治療又は予防を目的とする効能効果
 例)糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に、便秘が治る、等
・身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果
 例)疲労回復、解毒機能を高める、病気に対する自然治癒力が増す、病中・病後、等
・医薬品的な効能効果の暗示
 名称又はキャッチフレーズ、含有成分の表示及び説明
 製法の説明、起源や由来等の説明、新聞や雑誌等の記事
 医師や学者等の談話、学説や経験談等を引用または掲載
 (46通知別紙「医薬品の範囲に関する基準」3)より、項目名と例の一部を抜粋)

また、食品の表示や広告においては、「効能」「効果」や「薬」の文字など、医薬品特有の表現をすることや、「肌」「髪」などの身体の特定部分を記載することにより、その部分への栄養効果を示す表現もできません。「肉体疲労時に」「胃腸の調子の悪い時に」など、疾病等の望ましくない状態にあるときを特定して対象とする栄養補給などの表示も、医薬品的効能効果表現に該当するためできません。

③医薬品的な形状か
食品は、アンプルや舌下錠、口の中にスプレーして粘膜から吸収するものなど、専ら医薬品として使用される形状をとることはできません。
なお、「食品」であることが明示されている場合に限り、食品でもカプセル状や丸剤等の形状をとることは可能です。

④医薬品的な用法用量が記載されているか
食品においては、その使用時期や使用間隔、使用量などを断定的に指定することはできません。具体的には、「毎食後にスプーン1杯ずつ」「お休み前に飲んでください」「1日3個食べてください」「食前・食後にお飲みください」などの表現が医薬品的な用法用量の指定に該当します。また、「オブラートに包んで食べてください」など、医薬品特有の摂取方法を表示することや、「体調の悪い方は1日10粒、よくなったら1日3粒お召し上がりください」などの症状に応じて用法用量を定めることもできません。「食前」「食後」など、医薬品特有の表現も使用できません。
食品の場合において可能であるのは、「栄養補給のための食品として、1日2~3個を目安にお召し上がりください」など、食品であることを明示したうえで、あくまでも目安としての摂取量を示す範囲のみとなります。
ただし、過剰摂取を避けるための摂取量の上限を示す表示などは、食品においても行うことができます。