【韓国】2010年、臨床試験承認の統計資料が発表

 食品医薬品安全庁(KFDA)は、2010年臨床試験承認の状況を分析した結果、承認件数は合計で439件と前年比で約10%増加した。全体承認された臨床試験のうち、韓国国内の依頼者の臨床試験は229件(52.2%)で、多国籍企業の臨床試験数は210件(47.8%)であった。特に韓国国内の臨床試験は前年比で約16%と大幅に増加した。

 臨床試験の申込み件数は、韓国ファイザー製薬が24件(5.5%)で最も多く、韓国ノバティス
が22件(5%)、グラクソ・スミスクラインが20件(4.6%)、延世大学校新村セブランス病院が15件(3.4%)、ソウル大学校病院が13件(3%)となっている。

 臨床試験申込み件数が多い上位5社のうち、多国籍製薬会社だけでなく、大学病院が2カ所も含まれており、韓国の研究者による臨床試験が活発に行われていることが分かる。

※ ’08年~’10年累積数:韓国ファイザー製薬 (66件、15%)、グラクソ・スミスクライン
(55件、12.5%)、韓国ノバティス(51件、11.6%)、韓国ヤンセン(38件、8.7%)、ソウル大学校
病院(37件、8.4%)

 臨床試験の段階別で見ると、初期臨床試験(0~1相)が99件(22.6%)、2相は88件(20%)、3相は150件(34.2%)、4相は102件(23.2%)となっている。臨床試験の国際競争力指標でもある初期臨床試験(0~1相)の承認件数が全体に占める割合は、08年以降、継続的に増加している。
※ 初期臨床試験の承認件数 ’08年:87件(21.8%)、 ’09年:85件(21.3%)、’10年:99件(22.6%)

 海外企業による臨床試験では、初期臨床試験数は’08年の16件から’10年には23件に増加。これは、国内臨床試験機関の医療専門の人員と施設等のインフラおよび臨床試験が国際水準に近付きつつあるためであることが分かる。臨床試験の治療領域別で見ると、世界的な新薬開発研究・開発(R&D)の流れと、韓国国内の状況に大きく影響を受けていることが分かる。内訳を見ると、腫瘍112件(25.5%)、ホルモン及び代謝系 54件(12.3%)、心血関係 49件(11.2%)、中枢神経系 48件(10.9%)の順で、これら臨床試験の件数は同じ期間の全体臨床試験の約60%を占めた。※ ’08年~’10年の累積現況:腫瘍(316件、25.5%)、心血関係(161件、13%)、ホルモン&代謝系(142件、11.5%)、中枢神経系(141件、11.4%)

 地域別に臨床試験の実施状況を見ると、ソウル(56.8%)および京畿道(15.5%)でほぼすべてを占めており、機関別では三星ソウル病院(148件、33.7%)、ソウル大学校病院(144件, 32.8%)、 延世大学校新村セブランス病院(129件、29.4%)、ソウルアサン病院(123件、28%)、カトリック大学ソウルソンモ病院(85件、19.4%)の順に多い。
※ ’08年~’10年の上位5機関別の現況:ソウル大学校病院(432件、34.9%)、三星ソウル病院(419件、33.%)、ソウルアサン病院(409件、33%)、延世大学校新村セブランス病院(403件、32.5%)、カトリック大学ソウルソンモ病院 (238件、19.2%)

 KFDAは、今後とも初期臨床試験の競争力を高めるために承認処理期間を30日から14日に短
縮し、相談期間の短縮および手続きの簡素化等、事前相談制度を改善、また自己点検要約書制度の導入と英文計画書の提出許容などを推進する。また、新しい臨床技法とグローバル臨床試験の優位獲得およびインフラ構築のために、先端化・特性化を土台とする臨床試験の総合発展計画を「臨床未来創造2020企画団」を通じて継続的に実施する予定だという。

 それと同時に、被験者の安全管理のために臨床試験機関に対して、定期的に実態調査を実施し、2011年度には臨床試験実施機関の自律的安全管理基盤構築のために地域別巡回教育等の各種支援事業も推進する。

 

参考URL: 2011.2.24 KFDAニュース

http://www.kfda.go.kr/index.kfda?mid=56&seq=14286