【韓国】―KFDA、患者放射線量低減化ガイドラインを提示― ’07年〜’09年の国内患者の放射線量の実態調査結果を発表

 食品医薬品安全庁(KFDA)は、病院など医療機関からのX線を用いた検査の時に患者が受ける放射線量を下げることができるように、撮影部位別の推奨量を設定するなど、低減化を進めていると明らかにした。最近、新しい画像技術の導入や健康診断の増加にX線を利用した撮影回数も大幅に増加しているうえ、患者が受ける放射線量はX線検査の種類や医療機関によって異なっており、放射線量の低減化が必要だった。
※腹部、骨盤、腰椎などを合わせた撮影回数は、2001年の883,141件から2006年には2,188,609件と2.4倍に増加している。
WHOなどの国際機構は、医療診断用放射線量の場合、有益性が危険性よりも高く、体の厚さや病気の診断の特異性などを理由に放射線量の基準を定めて管理するより、勧告量による低減化方策を推奨している。
※患者の身体特性や疾患診断の特殊性:物理的な厚さが大きいほど、放射線量が多くなって、同じテストでも、撮影部位の特性に応じて、放射線量の差が大きい。(例えば、通常は胸部0.34mGy <腰椎12.65mGy)

 KFDAは、’07年から’09年までに125病院を対象に、韓国国内患者の腹部、腰部、胸部などの撮影部位別放射線被曝線量の程度を調査した。一般的なエックス線放射線量の病院間の差は、胸部(PA)の場合、最小0.05 mGy~最大1.60 mGyの32倍程度で、頭部(AP)は28倍、乳房(AP)5倍、腹部(AP)の7倍、骨盤(AP)22倍、腰椎(AP)37倍などだった。
※mGy(ミリグレー):物質の単位質量当たりに吸収された放射線のエネルギー(1J/kg)
CT撮影の放射線量の場合、頭部は、最小10.8 mGy~最大95 mGyの10倍程度の差があり、腹部には差が9倍となった。
※PA(Poterior – Anterior):後前方向撮影、AP(Anterior – Posterior):前後方向撮影、LAT(Lateral)側方向撮影、OBL(Oblique)の斜め方向撮影
KFDAはこのような実態調査をもとにX線機器別及び撮影部位別の推奨量を提示すると発表した。

 胸部など撮影部位別の患者線量勧告量
一般的なX線検査の部位別患者線量の勧告量は、胸部0.34 mGy、豆腐2.23 mGy、乳房1.36 mGy、腹部2.77 mGy、骨盤3.42 mGy、腰椎4.08 mGyなど。
―5歳以下の小児の胸部の患者線量勧告量の場合は0.1mGyで大人の1 / 3の水準である。
― CT撮影の患者線量勧告量は頭部60mGy、腹部20mGy
※患者の線量勧告量の設定基準:患者の性別、年齢、体の大きさが違って国際的に170cm、70kgの成人男性を基準に測定値の75‰(3 / 4分位)レベルで決定
今回の韓国国内勧告量は、イギリスを除く他の先進国に比べて同等または低い水準である。 一般的なX線勧告量の中で、胸部(0.34mGy)の場合、WHO勧告量0.4mGyよりも低く、EU •ドイツ(0.3mGy)などとはほぼ同じ水準である。腰部、腹部、骨盤、乳房の場合には、WHO勧告量の少なくとも28%から最大62%水準でEU •ドイツなどに比べても低い。韓国国内のCT撮影の勧告量の中で、腹部(25mGy)は、WHO勧告量20mGyより20%低い水準であり、頭部(60mGy)は、WHO 50mGyより20%高いが、EUと同じレベル。

 KFDAは、患者の線量勧告量を定期的に評価し、勧告量を再設定するなど、段階的に低減化していく方針だと明らかにした。現在一般撮影の22の部位などへの患者の線量勧告量をリセットするための基礎作業として、2010年には316病院を対象に実態調査を実施し、今年は150余りの病院を対象に、患者の線量測定値を分析している。また、医療機関や関連団体を対象に、患者の線量勧告量についての教育及び広報を実施し、勧告量以上の放射線量が出てくる医療機関については、定期的に測定する技術をサポートする予定である。

2011.11.03 KFDAニュース
http://www.kfda.go.kr/index.kfda?mid=56&seq=16403