コパイバの特徴

区分
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数ある精油の中から、昆虫に対する高い忌避活性を有し、かつ微香性で、非常に安全性が高いという特長を持つコパイバ精油について、ここに紹介する。

―コパイバとは?―
コパイバは正式名をコパイババルサムノキといい、マメ科(Copaifera L.)の植物である。大きな幹に滑らかな樹皮をしており大変枝の多い喬木で、高さ30 mに達するものもある。コパイババルサムノキから採れる香料をコパイババルサムという。
コパイバ1

―コパイバの産地および製法―
コパイババルサムはブラジル、ベネズエラなどを原産国としており、アマゾン川やオリノコ川の流域にて採取される。コパイババルサムはCopaifera種から得られるオレオレジン(不揮発性もしくは難揮発性の樹脂状分泌物)であり、採取の際には樹木のポケットに集積したオレオレジンを直接採取したり、地上から60~90 cmと3~6 mの所に穴を開け、下方から滲出してくるオレオレジンを受器で採取するのが主流である。採取後は両方の穴を簡単なプラグで塞いでおく。収量は、大きな木になると12ガロン程度得られると言われ、採集時期は雨期に比べて収量の良い、乾燥している7月から11月にかけて行われる。
コパイバ2

コパイババルサムは無色で粘りのない液体で滲出するが、次第に、透明で多少粘稠な淡黄色から黄褐色の液体に変化していく。コパイババルサムは時間の経過と共に次第に粘稠となり、重合して樹脂化する。空気に曝すと暗褐色となり粘稠度や比重が増し、堅く壊れやすい樹脂に乾燥する。製品化に際しては、水分や樹皮、その他の不純物を除去する。
コパイバ3

―香気成分―
コパイババルサムは大変淡く、軽いウッディで、微かにスパイス調(コショウ様)の芳香があり、程よい持続性を持つ。そのフレーバーは苦く、刺激性があり、吐き気を催すような味である。コパイババルサムを水蒸気蒸留するとコパイババルサムオイルとレジンが得られる。オイルは無色~淡黄色の液体で、コパイババルサム特有の芳香を持ち、芳しく、僅かに苦く、刺激性の味をしている。レジンは堅くて壊れやすく、半透明・無定型のかたまりで、緑がかった褐色をしており、ほぼ無味無臭である。
なお、後述の昆虫に対する忌避試験においては、コパイババルサムオイルを用いている。

―構成成分―
コパイバオイルの約7~8割はセスキテルペン炭化水素であり、その主要成分は-Caryophyllene、-Copaene、Humulene、Germacrene-D、Caryophyllene-4, 5-epoxideなどである。
コパイバ

―安全性―
コパイババルサムから得られるオイル(コパイバオイル)は極めて安全性の高いものであり、各種の安全性の基礎評価となる毒性については以下の通りである。
毒性比較

この様にコパイバオイルは、急性毒性の観点からすると食塩よりも毒性は低いということになる。また、米国食品医薬品局(FDA;Food and Drug Administration)において食品添加物の認定を受けている。

―香料としての用途―
コパイババルサムはコショウ様芳香のため、ゼラニウムオイルやシナモンオイル、クローブオイルなど多くの香料とよく調和し、変調剤として使用される。また、ラベンダーやバーベナ、ウッディなどの保留剤にも使用され、特に石鹸香料の保留剤として優れている。加えて、香水に使用されたり、他のオイルの偽和剤に用いられることもある。オイルはコパイババルサムの様に保留効果はあまりなく、変調剤として用いられ、フレーバーとして使用されることもある。